①マネーボール
メジャーでは一般的なGM(雇われ社長)の話です。球団社長から資金を渡され、トレードやドラフト、クビ宣告など選手管理の一切を任されます。
日本ではドラゴンズで落合さんがこの役職に就かれています。
この作品の面白さは、主役である現アスレチックスGM、ビリービーンの人柄によるところが大きいです。
スター選手候補でありながら大成出来なかったビリーは貧乏球団アスレチックスのスカウトから這い上がりGMに就任しています。球団は貧乏なので完璧な選手を獲得することはできません。そこでビリーはデータを駆使し、過小評価された個性的な選手を獲得し、成功を収めていきます。
過小評価された人々が勝つという実話の王道ストーリーも確かに面白いのですが、それよりもビリーが選手たちを集めるまでがとても面白いんです。
彼の才能は野球ではなく、口にありました。強引にトレード話をまとめ、ドラフトで旧来のスカウト陣を説き伏せ、ライバル球団のGMから情報をさりげなく聞き出す。彼にはそれを可能にする天性の口のうまさとカリスマ性があるのです。実名がバンバン飛び交うリアルな交渉の様子はどれも見どころです。
本と映画があるのですが、ぜひ本を手にとって頂きたいと思っています。
細かいデータや人物まで詳しく書かれていますし、映画版ではカットされてしまった過小評価されていた選手側の話もわかり、より勝利にカタルシスが感じられる作りになっています。
映画版もブラッドピットの演技や映像が素晴らしいのですが、やはり本を映画化するために省かなければならなかったところ、改変されたところが多くあります。事実を元にしたリアルな緊張感や深みは原作の方が感じられるのではないかと思います。
②ワンナウツ
甲子園の青春とは程遠い勝負に徹する男の話
ワンアウト獲るごとに500万、失点ごとに-5000万という契約をした主人公、渡久地は、他の野球漫画のような剛速球や魔球は投げず、コントロールと心理戦、ルールの盲点を突くなどありとあらゆる手段を使い、強大なライバルと年俸を下げたいオーナーの両方を相手に立ち向かいます。
これほど主人公が挫折したり、負けたりしない漫画も珍しいと思いますが、それでもこの作品が面白いのはこの漫画はただの野球漫画ではなく、野球という競技の可能性をとことん広げているところにあります。
例えば一番好きなエピソードに千葉マリナーズとのシリーズがあります。
この試合渡久地は滅多打ちにあい、このまま試合が終わると多額の借金を背負ってしまう状況になってしまいます。ところが、試合が行われている球場は1時間後に大雨が降り試合ができなることが判明します。大雨が降って試合ができなくなるとその時点で5回の表裏が終了していればそこまでで試合が成立、それ以前ならノーゲームとしてなかったことになります。なので5回を成立させたいマリナーズと試合を引き延ばしにかかる渡久地の時間の獲り合いが始まります。
ストライクを投げない(渡久地)⇒わざとスイングする(マリナーズ)⇒ボークで出塁させる(渡久地)⇒3塁に走りだす(マリナーズ)
という反則合戦になっていきます。このまま反則合戦かと思いきや、そこはライアーゲームの作者甲斐谷忍さん、もう2段階の驚きを用意してくれます。
このように、ただの野球ではなくフィクションということを存分に活かした戦略ゲームは他の漫画にはない大きな魅力です。
漫画とアニメがあるのですが、やはり原作である漫画をオススメします。甲斐谷さんはストーリーはとても素晴らしいものの絵が、、なためアニメで見た方が躍動感が出ています。しかし、アニメ版はカットしている部分がとても多く、やはり漫画から読むことをお勧めします。
③脳内球団
某ラジオで行われていた、自分の頭の中にいる選手を紹介するコーナーです。不手際を起こした部下に金属バットでこめかみをフルスイングしていたアル山パチーノ選手やクリスタルレイクキャンプでひときわ目立っていたマスクをつけた大型キャッチャー、ジェイソン十三(じゅうじょう)選手など大爆笑の選手達が紹介されていきます。残念ながら書籍化などはされていないので聞く手段はないはずなのですが、、、、、まあ、、、その、、某サイトで検索とかすると、、ねえ、、、、あの聞けたりする可能性もあるかもしれません。